目次
雇用保険の適用拡大
【現状・課題】
○ 週の所定労働時間が20時間以上の労働者が雇用保険法の適用対象になる。
○ 雇用労働者の中で働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していることを踏まえ、雇用のセーフティネットを拡げる必要がある。
【見直し内容】
○ 雇用保険の適用対象を週の所定労働時間が10時間以上の労働者まで拡大。(R4年度末時点の被保険者数は約4,457万人)
※ 給付は別基準とするのではなく、現行の被保険者と同様に、基本手当、教育訓練給付、育児休業給付等を支給。
<施行期日>2028(令和10)年度中
自己都合離職者の給付制限の見直し
【現状・課題】
○ 正当な理由のない自己都合離職者に対しては、失業給付(基本手当)の受給に当たって、待期満了の翌日から原則2ヶ月 間(5年以内に2回を超える場合は3ヶ月)の給付制限期間がある。
※ ただし、ハローワークの受講指示を受けて公共職業訓練等を受講した場合、給付制限が解除される。
○ 労働者が安心して再就職活動を行えるようにする観点等を踏まえ、給付制限期間を見直す必要がある。
【見直し内容】
○ 原則の給付制限期間を2ヶ月から1ヶ月へ短縮する。ただし、5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職の場合には給付制限期間を3ヶ月とする。
○ 離職期間中や離職日前1年以内に、自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、給付制限を解除。
<施行期日>2025(令和7)年度
教育訓練給付の拡充
【現状・課題】
○ 厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了した場合にその費用の一部を支給すること(教育訓練給付)を通じて、労働者の学び直し等を支援している。
○ 個人の主体的なリ・スキリング等への直接支援をより一層、強化、推進するとともに、その教育訓練の効果(賃金上昇や再就職等)を高めていく必要がある。
【見直し内容】
○ 専門実践教育訓練給付金(中長期的キャリア形成に資する専門的・実践的な教育訓練講座を対象)について、教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合には、現行の追加給付に加えて、更に受講費用の10%(合計80%)を追加で支給する。
○ 特定一般教育訓練給付金(速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練講座を対象)について、資格取得し、就職等した場合には、受講費用の10%(合計50%)を追加で支給する。
<施行期日>2024(令和6)年度中
教育訓練中の生活を支えるための給付と融資制度の創設
【現状・課題】
○ 労働者が自発的に、教育訓練に専念するために仕事から離れる場合に、その訓練期間中の生活費を支援する仕組みがない。
また、雇用保険の被保険者ではない者が、公共職業訓練等以外の教育訓練を自発的に受けるための費用や生活費を支援する仕組みがない。
○ 労働者の主体的な能力開発をより一層支援する観点からは、離職者等を含め、労働者が生活費等への不安なく教育訓練に専念できるようにする必要がある。
【見直し内容】
○ 雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、賃金の一定割合を支給する教育訓練休暇給付金(仮
称)を創設する。
○ 雇用保険の被保険者ではない者を対象に、教育訓練費用や生活費を対象とする融資制度を創設する。
<施行期日>2025(令和7)年度中
育児休業給付の給付率引上げ
【現状・課題】
○ 育児休業を取得した場合、休業開始から通算180日までは賃金の67%(手取りで8割相当)、180日経過後は50%が支給。
○ 若者世代が、希望どおり、結婚、妊娠・出産、子育てを選択できるようにしていくため、夫婦ともに働き、育児を行う「共働き・共育て」を推進する必要があり、特に男性の育児休業取得の更なる促進が求められる。
【見直し内容】
○ 子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引き上げることとする。
※ 配偶者が専業主婦の場合や、ひとり親家庭の場合などには、配偶者の育児休業の取得を求めずに給付率を引き上げる。
<財源>こども・子育て支援金(仮称)を充当
<施行期日>2025(令和7)年度
育児時短就業給付(仮称)の創設
【現状・課題】
○ 現状では、育児のための短時間勤務制度を選択し、賃金が低下した労働者に対して給付する制度はない。
○ 「共働き・共育て」の推進や、子の出生・育児休業後の労働者の育児とキャリア形成の両立支援の観点から、柔軟な働き方として、時短勤務制度を選択できるようにすることが求められる。
【見直し内容】
○ 被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、育児時短就業給付(仮称)を創設。
○ 給付率については、休業よりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間で勤務することを推進する観点から、時短勤務中に支払われた賃金額の10%とする。
<財源>こども・子育て支援金(仮称)を充当
<施行期日>2025(令和7)年度
就業促進手当
【現状・課題】
○ 安定した職業以外の職業に早期再就職した場合の手当として就業手当が、早期再就職し、離職前の賃金から再就職後賃金が低下していた場合に低下した賃金の6か月分を支給する手当として就業促進定着手当が設けられている。
○ 支給実績や人手不足の状況等を踏まえた各手当の在り方について、検討する必要がある。
【見直し内容】
○ 就業手当を廃止するとともに、就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げる。
<施行期日>2025(令和7)年度
令和6年度末までの暫定措置
【現状・課題】
○ 雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、地域延長給付(雇用機会が不足する地域における給付日数の延長)、教育訓練支援給付金(45才未満の者に基本手当の80%を訓練受講中に支給)は、令和6年度末までの暫定措置とされている。
○ 暫定措置の在り方について、検討する必要がある。
【見直し内容】
○ 雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、地域延長給付を2年間延長する。
○ 教育訓練支援給付金の給付率を基本手当の60%とした上で、2年間延長する。
※ そのほか介護休業給付に係る国庫負担割合を1/80(本則:1/8)とする暫定措置を2年間延長する。
<施行期日>2025(令和7)年度