中小企業にとって、雇用環境を整えながら成長を図ることは大きな課題です。そのため、政府が提供する雇用関係の助成金は、従業員の雇用維持や職場環境の改善に役立つ貴重な資源です。今回は、社会保険労務士がサポートできる「雇用助成金」の中から、中小企業が今すぐ申請できるおすすめの助成金をいくつか紹介し、そのポイントを解説します。
#### 1. キャリアアップ助成金
「キャリアアップ助成金」は、特に非正規雇用の労働者を正社員へ転換する際に活用できる助成金です。この助成金は、非正規社員(パートタイマーや契約社員)を正規社員に昇格させた際、企業に対して一定額が支給されます。人材不足が課題となっている中小企業にとって、既存の非正規社員を正社員化し、長期的に活用するための強力な支援となります。
**助成対象となる取り組み:**
- 有期契約労働者を無期契約に転換
- 非正規労働者を正規雇用へ転換
- 派遣労働者を正規雇用へ転換
**申請ポイント:**
- 労働者を正規雇用へ転換する前に、転換計画の策定と申請が必要。
- 転換後、一定期間雇用を維持することが求められます。
#### 2. 人材開発支援助成金
「人材開発支援助成金」は、従業員のスキルアップや研修を行う際に活用できる助成金です。特に中小企業では、従業員の育成にかかるコストを助成金で補いながら、社員のスキル向上を図ることができます。例えば、従業員に職業訓練やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を提供した際、その経費や訓練期間中の賃金が一部助成されます。
**助成対象となる取り組み:**
- 職業訓練や資格取得支援
- OJT(現場訓練)
- 外部講師を招いた専門的な研修
**申請ポイント:**
- 訓練計画を事前に作成し、所定の手続きを経て申請が必要。
- 訓練内容が助成金の対象となることを確認しましょう。
#### 3. 65歳超雇用推進助成金
「65歳超雇用推進助成金」は、高齢者の雇用を促進するための助成金です。中小企業が定年を廃止したり、65歳以上でも働ける制度を導入することで、高齢労働者の雇用を長期的に維持し、企業の人材不足を解消することができます。特に少子高齢化が進む中、企業の人材確保に役立つ重要な助成金です。
**助成対象となる取り組み:**
- 定年年齢の引き上げ(70歳以上への引き上げ)
- 定年制の廃止
- 高齢者の継続雇用制度の導入
**申請ポイント:**
- 雇用環境の改善や制度改正を行う前に、助成金の対象となるか確認。
- 制度変更後も、継続的に雇用維持が求められる。
#### 4. 両立支援助成金
「両立支援助成金」は、育児や介護と仕事の両立を支援するための助成金です。育児休業や介護休業を取得した従業員に対し、企業が制度を整えることで、支給される仕組みです。例えば、育児休業中に代替の労働者を雇ったり、育休からの職場復帰を支援する取り組みに対して助成が行われます。
**助成対象となる取り組み:**
- 育児・介護休業の取得支援
- 復職支援制度の導入
- 両立支援に向けた職場環境の整備
**申請ポイント:**
- 育児休業や介護休業の取得者がいることが前提。
- 休業取得から復帰までのスムーズな支援体制が求められます。
#### 5. 産業雇用安定助成金
「産業雇用安定助成金」は、経営環境が厳しい企業が従業員の雇用を維持しながら、他企業への出向や受入れを行う場合に支給される助成金です。経済的な理由で解雇せざるを得ない状況でも、他企業と連携することで、従業員の雇用維持を支援する目的があります。
**助成対象となる取り組み:**
- 他企業への従業員の一時的な出向
- 出向先企業との連携による雇用維持
**申請ポイント:**
- 出向契約や出向にかかる費用が対象。
- 出向先企業との契約書類などが必要です。
#### まとめ
中小企業が雇用環境を改善しつつ成長を図るために、雇用助成金は非常に有効なツールです。キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金など、従業員のスキル向上や雇用安定に役立つ助成金を積極的に活用することで、企業の成長を促進できます。申請にあたっては、詳細な条件や必要書類の準備が重要ですので、専門の社会保険労務士に相談することもおすすめです。
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